タンシロ

ブロークバック・マウンテンのタンシロのレビュー・感想・評価

4.2
「愛」について考えさせられる映画だった。この映画の肝は、アルマ。彼女がなぜあんなにも悲しく辛い描写が多かったかを考えることが、この映画の本質にせまることなんだと思う。
結婚したパートナーが同性愛者だったと知ったときのショックもそうだが、異性なのに一番の性的対象にみられていなかったこと、それに加え、子育て家事などに満足に自分の時間を使ってくれず、ジャックが遊びにきたときは喜々として家を出ていき、家事育児よりも大事だったはずの仕事をほっぽりだして数日間のブロークバック・マウンテンへのキャンプに出かける姿を見せつけられるのはかなり辛かっただろうと思う。
この映画を観るときのサブテーマは「愛」の表現だと思うんだけど、やっぱり、自分の愛する人には「時間」を提供するもんなんだと思う。そして相手にも、その大事にしている「時間」を自分にも分けてほしい。
愛の形として、お金や資産を惜しみなく与えることも一つの表現だが、それは相手に「時間」という誰にとっても平等で有限なものを提供できることが前提にあるんだと思う。ジャックはそれが欲しかったし、アルマもそれが欲しかった。そしてイニスはもっと愛したかった。イニスがもっともうまく愛せたのは娘のジュニアだろうな。月に一度の面会日を欠かすことなく会ってきたんだと思う。それこそジャックよりもその時間を優先した。だからこそ娘には、娘の結婚相手には、娘を愛してほしいという願望が生まれたんじゃないかな?
タンシロ

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