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ブロークバック・マウンテンのaのレビュー・感想・評価

4.1
愛し合うというだけで、どうしてこうもままならないのだろう。二人の恋愛の上では、単純な事柄も途端に複雑に変わってしまう。さまざまな柵の中で。誰にも許されないと互いに認知している事の苦しさ、秘密を抱えて人生をこなしていく事のはがゆさ。心震わせるほどの恋は、確かに永遠だった。エンディングの捉え方は人それぞれだろうけど、私は幸福に捉えた。

イニスとジャックの二人がヘテロである事、これが後の関係の神秘性を増させる。イニスの許嫁アルマやアンハサウェイ演じるラリーンについ同情してしまった。女子供、躊躇なく登場させる感じ、苦しい。ちょっと女性陣が不憫だよねえ。時が時だからこそ致し方ないのは分かるけれど、それぞれ平等に愛を育みたかったはず。そう考えると愛し合うってとても難しい、奇跡のようなことなんだな。
一年ほどの交際で、家族や友人、世間の祝福を受け結婚してしまう娘の姿を見て、何を思ったのだろう。あのタイミングはずるい!ずるい!切ない。

エンドロールまでじっと見つめてしまう余韻。きっと冒頭を見返せば涙してしまう。ブロークバックマウンテンの豊かな自然の中で、いたいほどに清らかな恋が、生まれて、消えた。
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