Omizu

タッチ・オブ・スパイスのOmizuのレビュー・感想・評価

タッチ・オブ・スパイス(2003年製作の映画)
3.5
【第77回アカデミー賞 外国語映画賞ギリシャ代表】
タソス・ブルメティス監督作品。テッサロニキ映画祭で10冠を達成、アカデミー賞ギリシャ代表にも選出された。

とてもいい映画だが、やや子供向けかな。ギリシャとトルコの国際問題を背景に少年を描く。

ギリシャと言えばランティモスや『林檎とポラロイド』など変わった演出の映画が多いという印象だったのだが、本作は正統派。

「ひとつまみのスパイス」をめぐる少年の逡巡。成長した主人公が過去と向き合う物語でもある。

トルコとギリシャを行ったり来たりする。「トルコではギリシャ人、ギリシャではトルコ人として扱われる」というセリフが印象的。溶けない国家間の緊張を上手く描写しているとは思う。

正統派演出で描かれた上手い物語ではあるが、「ギリシャの奇妙な波」が大好きな自分としては物足りなかった。お行儀のいい映画で、観た後一定の満足感はある。

決して楽しい映画ではないが、ギリシャの近代史を背景にした少年映画として一定のクオリティがある。

期待していたものとは違ったがこれはこれで評価されるのも分かる。ギリシャ映画として、というより社会派少年映画として満足度の高い作品と言えるだろう。
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