なべ

黄金の七人のなべのレビュー・感想・評価

黄金の七人(1965年製作の映画)
3.5
 死ぬまでにこれは観ろ!2021〜キング洋画250連発で買った3枚のうちの1枚。
 昔はTVの洋画劇場や深夜映画でよくやってた懐かしい一本。
 始まるや否や、金塊掠奪プロジェクトが密かに(大胆に)遂行中。ミッションを進めてるのは名前の頭文字がAで始まる6人の男たちと立案者の教授とその愛人。
 盗みの動機やチーム結成の背景、人物描写など一切なし。とにかく進行中なのだ。シンプルなことこの上ない。ここまで潔いと逆に清々しい。せめて6人の誰が何の専門なのか、スキルによるキャラ分けくらいあってもよさそうなものだが、ないんだなあ。しかしそれを補っているものがちゃんとあるのだ。それがオシャレとエッチ。
 オシャレとはイタリアの誇りアルマンド・トロヴァヨーリの楽曲のこと。一度の聴いたら忘れられない軽妙でポップなダーダバダーダバなスキャットが全編を粋に彩る。彩りまくる。小山田圭吾が恋とマシンガンでパクったあの曲といえばわかるだろうか。
 渋谷系とはいわゆるリスペクトのないあからさまなパクリだとぼくは定義づけているのだが、それはトロヴァヨーリの名曲・黄金の七人を「どうせバカなオーディエンスはオリジナルなんて知りもしないんだから丸パクリしちゃえ」と剽窃した上で、「オマージュですけどいい子はオリジナル探しとかしないでね」的な態度が鼻持ちならなかったからだ。だから当時のミックステープには、わざと黄金の七人を入れて、「このフリッパーズギターみたいなダーダバダーダバいってる曲は何すか?」と聞いてくる奴らにトロヴァヨーリの素晴らしさを、フリッパーズの悪辣さを力一杯説いてた。オリンピックで小山田圭吾の人間性が日本国民の知るところとなってやっと溜飲が下がったわ。
 対するエッチは情婦役のロッサナ・ポデスタ。決して裸にはならないのに裸体以上の衝撃を与えてくれるエロエロクイーンだ。よく見ると絶世の美女はいえないし、さほど若くもないんだけど、彼女のボディラインと、キャラに合ったエッチい衣装の七変化を見るだけで、話の粗さを無意識に相殺してしまう。それくらいエッチに説得力があるのだ!(力説)。全身網のボディスーツなど、ディテールを確かめたくて思わず身を乗り出してしまうほどだからね。この妖艶さをまあ一度見てみてよ。
 そんな掟破りなW演出により、話の簡略化にまんまと成功(成功か?)した本作のスタイリッシュさは今観ても充分通用するものだった。
 掠奪、逃走からのドンデン返しも楽しく、「ああ、今だとこうはいかないな」と懐かしい昔感はあるけど、逆にそれが心地よく、「好き♡」と思っちゃうこと請け合い。
 粋でイナセでオシャレな黄金の七人をどうぞよろしくお願いします。
なべ

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