シャチ状球体

神田川のシャチ状球体のレビュー・感想・評価

神田川(1974年製作の映画)
3.5
冒頭から聞き覚えのある有名な曲が流れてきて驚き。南こうせつの神田川って、この映画のテーマソングだったのね。

大学に進学したはいいものの全くやる気が出ず、エリート公務員の兄と比較される主人公(高橋惠子とロン毛が似合う草刈正雄)は今でも普通に通用するキャラクター造形だと思う。登場人物内に明確に社会的な階級差があり、行き場のないルサンチマンや家父長制の呪いによって破滅していくストーリーも今の時代にぴったりだと思うんだけど……。今はネット上で社会的マイノリティに憎悪をぶつけて一時的な逃避をすることが一種の露悪的な娯楽として機能しているから国内でこういう映画は需要がないのかも。
ジェンダー観だけ現代レベルにアップデートしたATG映画が観たい。本人の同意なしに手術するとかあり得ない……と思いつつ、当時は優生保護法もあったし実際こういう事例も存在したのかな。パートの休業制度も無さそうで恐ろしく酷い時代。

色々物足りないところもありながら、エンディングで神田川が流れただけで満足してしまいました。映画の最初と最後にテーマソングを流す構成、70年代のイタリア映画みたいで好き。
シャチ状球体

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