半兵衛

アウトローの半兵衛のレビュー・感想・評価

アウトロー(1976年製作の映画)
3.8
イタリアとアメリカ、二つのウェスタンを経験しているイーストウッドがそのノウハウを生かしつつ、新たな西部劇へと挑んだ秀作。今までイーストウッドが演じてきた名も無き男ではなく、名前もバックボーンもちゃんとあるところも自分の殻を破ろうとする意欲が汲み取れる。

妻子を殺された男による復讐劇という体裁をとりつつ、南北戦争後に主人公が知り合っていく様々な民族のキャラや動物と一緒に行動をとっていきいつしか疑似家族あるいは多国籍国家として発展する近代アメリカを重ね合わせる演出が見事。そんな彼らになんだかんだ言って主人公が優しく平等に接しているのも新時代のウェスタンらしい。

インディアンの老人をはじめ個性的なキャラクターたちとのやりとりもユーモアで適度な笑いをもたらす。そしてこの映画でイーストウッドと知り合い付き合うことになるソンドラ・ロックも後年の作品のような擦れっ枯らしさはないので初々しいヒロインによく合っている、でもそんなソンドラを容赦なく悪党に暴行させあまつさえ尻まで出してしまう(しかもイーストウッドは遠くから見ているだけ)ところに監督の変態な性癖がよく出ている。でもそんなやられるだけだったヒロインが終盤銃を持って敵と戦う姿にはグッときた。

南北戦争の時代が終わり、主人公が伝説と化していくラストも味わい深い。

名手ブルース・サーティースによる映像の美しさもgood。
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