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アウトローのparsifal3745のネタバレレビュー・内容・結末

アウトロー(1976年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2度目の視聴であるが、改めてイーストウッド映画のすばらしさが詰まっている映画だった。反戦思想、弱者を守るための戦い、様々な人との共生、正義の仮面をかぶった悪人への憎悪、女性に積極的な強い男等、後期の作品群に繋がるプロットが全部詰まっていた。後期作品群を見てからみるとわかりやすい。インディアンのチェロキー族の酋長や店で虐待されていた若い女、襲撃を受けて夫と兄を失った老婦人と孫娘、約束の地のバーで知り合った客などと一緒に暮らすことになるが、その姿こそが「理想郷」と言っているかのようだった。
 彼の映画には、どの立場の人にも、悪い人と良い人が出てくる。それどころか、一人の人間の中にも頑固な部分、無知な部分、愚かな部分、残忍な部分等が同居していて、人間をそのまま描こうとしているかのようだ。それに対して、ハリウッド映画の大半は、悪人側は全てが悪、善人側は全てが善という単純な図式で描こうするわけだが、それに対するアンチテーゼに見えてしまう。
 彼の愛人として10年余りも同棲することになったソンドラ・ロックも、この映画では華憐でお人形さんのようでかわいい。
 また、インディアンとの共生という視点からも、この時期としては、かなり挑戦的な試みであろう。白人が二枚舌でいつもインディアンを騙して、良い土地は奪われ、居留地に追い立てられた様子がさりげなく挿入されている。コマンチ族の酋長と一対一で共生できるように誓いを立てるのも、メッセージ性が強かった。
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