人類ほかほか計画

キャンディマンの人類ほかほか計画のレビュー・感想・評価

キャンディマン(1992年製作の映画)
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めちゃくちゃ名作やんけ……今まで見てなかったことを激しく後悔……。

都市伝説、モダンフォークロア。
人種への不安、格差への不安、治安や犯罪への不安、性差別や性暴力への不安。
住居という主題、壁の向こうに何かいる。
超常的オカルトとヒトコワ的オカルトと社会問題的で現実的な暴力と、さらにパラノイア的で悪夢的な自己意識が狂気に陥る恐怖、支配される恐怖、ストックホルム症候群的なパラノイア、不潔さと虫、転生や宿命へのパラノイア、勘違いされる恐怖、冤罪、魔女狩り的モチーフ、愛と裏切り、呪いの継承……。
いくつもの要素の高度な結合。
(社会派な要素やフェミニズムは『羊たちの沈黙』以降を強く感じさせるけどホラージャンル本道のB級でファンタジックな虚構の方向性はブラさない心意気)

ロケーション、美術、特殊美術、音楽(特に終盤にかけて)、ヴァージニアマドセン(クロースアップのクラシカルな美! スキンヘッドの美!)。

全部いい。オリジナリティも高い。普通にモダンホラー以降のベスト10に入ってもおかしくない。もっとホラー映画の超代表作であってもいい出来だけど、やっぱまあ地味というか華がないというかアイコンとして弱いというかポップさが足りないというかそういうところは否めなくはあるのが勿体なくもなきにしもあらずみたいなとこある的なやつではある……。片腕以外は異形でもなければマスクもつけてない大柄な黒人というのみのビジュアルでバケモノとして成立させられてしまってることが示唆してるものもあるとは言えなくはないが……。

おっぱいが見えそうで見えなくて結局見えるんかいみたいな場面が何度もある感じの映画なんだけど、警察の取り調べのシーンで「右乳左乳交互に上げて」って言う女性警官に対してほぼ後ろ向きで交互に上げてるのは流石に変に思えた。