けーはち

二十才の微熱 A TOUCH OF FEVERのけーはちのレビュー・感想・評価

二十才の微熱 A TOUCH OF FEVER(1993年製作の映画)
3.3
売り専ゲイの少年達の青春モノ。1993年と時代はLGBTQ+映画には早すぎるが自身もゲイである橋口亮輔監督の長編デビュー作として生々しい感情が描かれている。主人公は来るモノ拒まずの博愛的スタンスでヤらせるが別に男も女も求めはしない大学生。ただ何となく退学届を書いて吹けば飛ぶような紙切れ一枚で簡単に辞める事が馬鹿らしく辞めるのを辞めたり、家庭団欒と縁遠いので他人ん家の食卓で違和感のため嘔吐するなど、奇妙なナイーヴさを持ち合わせる。家庭事情で経済的に窮するハズなのに「フリーターでも食っていけるし誰でもない自分になりたい」みたいな自分探しの余裕あるセリフが出てくるのはやはりバブル時代の残光を感じずにいられない。映画的には長回しにカット割りの少ない構図の安易さ、ゲイの買春客が急に自分語りを始めるセリフ回しの舞台劇っぽさなど当時の日本の自主制作映画らしい生硬さはあるものの挑戦的で無軌道でも優しくナイーヴな若者のドラマには魅せられる。