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コータローまかりとおる!のやむちゃのレビュー・感想・評価

コータローまかりとおる!(1984年製作の映画)
3.3
備忘録
高校2年生の時(1984年)に鑑賞。
同時上映は「五福星」。
舞台挨拶も見に行った。

前年の「伊賀野カバ丸」が凄くおもしろかったので、期待していたが、カバ丸を上回ることは出来なかった印象。
前年はカバ丸が面白くて、同時上映の「カンニングモンキー天中拳」がイマイチだったが、この時は逆で、併映の「五福星」が面白く、本作がイマイチだった。

当初は、「伊賀野カバ丸2」が企画されていた(前年の冬頃にJACのグッズを通販で買った際、情報が載ったペライチの紙が同梱されていた)が、ご破産になった模様。それが霧野疾風役の高木淳也の突然のJAC退団によってか、原作出版社や作者との打ち合わせによってかは不明。

監督はカバ丸と同じく鈴木則文。
鈴木監督のコメディは、作品によって当たり外れが極端に大きい印象がある(吼えろ鉄拳もアクションは良いが、ギャグは滑りまくっていた)。

主演の黒崎輝は熱演していたが、ピタリとハマった「純真なアホ」のカバ丸と違い、「ややシニカルなアホ」のコータロー役はハマり切っていないように感じた。
またコータローは空手の達人の設定だが、あまり得意ではなさそう(スタント的な動きは得意そう)で、カバ丸の忍術やスタントのようにアクションの魅力を十分に引き出せなかったのも大きかと思う。
敵の砂土屋俊兵(伊原剛 現在は伊原剛志)は恐怖感さえ抱かせるキャラだが、ライバルでありながらお互いの存在を認めあっていたカバ丸の霧野疾風と比べると、本当に悪くて爽やさがない。
青春アクションコメディの敵役としては魅力的ではなかった(シリアスなアクション映画なら良い悪役だと思う)。

この映画で一番美味しい役どころは、頭をツルツルに剃り上げ、天光寺を怪演した大葉健二。本作以降スキンヘッドを売りにし、後年「キル・ビル」にもそのまま出演していた。

本作は、原作の漫画にも影響を与え、白バラ(真田広之と志穂美悦子の二人一役)とクララ姫は、その後漫画にも登場した。

余談
当時すごい人気だったJACは、本作直前の高木淳也退団(84年)からはじまり、その後、志穂美悦子(85年)、伊原剛志、渡洋史(88年)、真田広之(89年)と、毎年のように(ある程度知名度のある俳優の)退団が続き、その勢いを失っていく。
そして91年には、千葉真一が日光江戸村に組織自体を身売りしてしまう。
既にこの作品ぐらいから、崩壊の足音が聞こえていたんだなぁと思う。
(紆余曲折を経て、現在もJAEとして頑張ってはいるが…)
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