いろどり

愛より強い旅のいろどりのレビュー・感想・評価

愛より強い旅(2004年製作の映画)
4.3
アルジェリア出身でフランス移民のトミー・ガトリフ監督の自伝的要素の強い作品。音楽が生き生きしていて最高だった!移民映画であり、ロードムービーであり、音楽を楽しむ映画だった。鑑賞後のトークショーが濃厚で、細かいところまでクリアになった。

フランス植民地時代にアルジェリアに入植したフランスの両親がアルジェリア独立によりフランスに帰ってから生まれたザノと、フランスでアルジェリアの両親から生まれたナイマ。同じ移民2世といっても抱えているバックボーンの違いから周囲の受け入れも異なってきて、ナイマだけどこへいってもよそ者という孤独感が強くなるかなり繊細な移民の内情をほとんどセリフなしで音楽や映像で表現している。これがもう、最高すぎる。出発地のフランスの列車内(無賃乗車)ではテクノがかかり、移動するにつれスペインではフラメンコ、ロマ音楽、モロッコに入るにつれイスラミック色が強くなっていく。終盤にはスーフィーの儀式でトランス状態に!10分に及ぶ土着宗教的な歌と踊りにこちらまでトランスしそうになる。

日本では公開当時、DVD化されなかったのにサントラだけは発売されたという逸話の意味が良くわかった。音楽のクオリティ高すぎ。その多くを監督本人が作曲、作詞、編曲を手掛けていることがエンドロールでわかり、その素晴らしい才能にひたすらこうべを垂れる。とりあえずYouTubeにあるサントラを聴いているけどCDが欲しくなった。
いろどり

いろどり