すず

サスペリア・テルザ 最後の魔女のすずのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ヴィテルボ墓地で1815年に埋葬された柩と遺品入れが発掘される。詳しい調査のためローマ古代美術博物館に移された遺品入れを調べ始めた副館長のジゼルと研究生のサラ(アーシア•アルジェント)。中には儀式的な装飾品がいくつか入っている…。

オカルト色全開で本作の指針を示した狂気の幕開け。前二作から30年程にもなる時を経て、現代版の映像にアップデートされた〝魔女三部作〟完結編。

黒魔術や悪魔崇拝にまつわる美術を眺めていると、そのおどろおどろしさとは裏腹に、どうしようもなくその危うい美しさに魅了されてしまうのは不思議である。

本作品はのっけから残虐に臓物がこぼれ落ちて、その垂れ落ちた腸で首を締め上げる。現代の映像 技術の迫力はグロテスクなリアリティを増幅させ、満を持して放たれた完結編の激烈な幕開けに否応なく期待感が高まり、大作を予感させる。

『サスペリア』に『インフェルノ』をしっかりと踏襲して、効果的にCGも駆使しつつ、オールドスクールな美術や特殊メイクの表現にも強いこだわりをみせた姿勢もファンとしては喜ばしい。

しかし、あらゆる挑戦的な試みも、本作では結局 化学反応は起こらなかったと言わざるを得ない。一体何がいけなかったのか。いや、、あのクライマックスが大きな原因でしょ。。何それ?こんだけ煽って、そんな雑な決着?という。サラの母親であるエリザ(ダリア•ニコロディ)の存在も、結局、中途半端なダーク•ファンタジーを匂わせただけで全く活きてないし。。

ダリオ•アルジェント自身はもちろん素晴らしい作品を撮ろうと努力したと思うけど、後に本作を顧みて、どのような見解をお持ちなのだろう。。愛娘を主演に迎え、娘の実母もそのまま劇中の母親に据えて、思い出深い大切な作品として、とても客観的な評価は難しいだろうけど。。

まあ、でも、よくよく考えてみたら定められた結末へ辿り着くまでの過程に重きが置かれて、決着内容にはあまり重点がないのがシリーズの一貫した姿勢だったとも言える。しかし、前二作とは違って早くから姿を現した〝涙の母〟との戦いに向けて、要所に散りばめたファンタジックな描写展開からは、あのエンディングでは拍子抜け、納得できる人も少ないと思うけどなぁ。。何だよ、服脱がしてポイって笑。

ワクワクする展開もいっぱいあったから、なんかもったいないなというのが率直な感想。脚本家も3人いて、どうしてあのラストに落ち着くことが出来たのか。。

シリーズ〝三部作〟としての評価を決定づける重要な位置にあった作品だけに、いきなり急転直下の、雑なCG使いでサラッと終える、あのクライマックスはやはり実にもったいない。。
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