ケーティー

Mr.レディMr.マダムのケーティーのレビュー・感想・評価

Mr.レディMr.マダム(1978年製作の映画)
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随所に散りばめられたギャグが何とも面白い。取り立ててケレン味のあるギャグを言わなくても、シチュエーションや絵で笑わせる技術がすごい。
本人たちは普通に生活しているつもりでも、どこかワンポイントズレている。そんな状況を作り出すのが、うまいのである。

また、ゲイというある意味で特殊な題材を扱っているのだが、それをまるでサザエさんのようにほのぼのとした雰囲気で終止喜劇を進めていく。これもいい。
マンガやアメリカ映画のケレン味や下品さたっぷりのゲイのコメディとはちょっと違う。そこが、ゲイを題材にした作品が多い昨今、かえって今でも新鮮で、何よりも作者がゲイも一人の人間として描こうとしている真摯な姿勢を感じずにはいられない。
しかし、そういう真面目な向き合い方、普通の人としての描き方をしているからこそ、最初に述べたのように、ちょっとしたおかしさで笑いがとれるのだ。

人を傷つけないコメディの傑作である。
そして何よりも、ラストでどこかしみじみとした人間愛を感じる素敵な作品だ。