シズヲ

ハタリ!のシズヲのレビュー・感想・評価

ハタリ!(1962年製作の映画)
4.5
冒頭から猛スピードのスペクタクル。自動車でのサイとのチェイス、そしてサイからの激しい突進を喰らうオープニングでいきなり度肝を抜かれる。本作はアフリカでの動物捕獲チームでの仕事や日常を描いた映画で、大自然のロケーションをバックに動物達と繰り広げる映像の迫力がとにかく秀逸。多数の動物をちゃんと代わる代わる撮影してアクションに組み込んでいるのが凄いし、その上で捕獲チームによる不用意な殺傷シーンが皆無なのが見ていて気持ちいい。人間慣れしたチーターや子象達との戯れ(ヒロインに懐くテンボが可愛い)など、動の場面とは違った意味で驚かされる微笑ましい描写も見所だ。

サイのジンクスやチーム内の恋愛模様といった一応のストーリーラインを持ちつつも、基本的には細かいエピソードの連続といった形で終始進む。約2時間40分という尺なだけに少々長さを感じるのは否めないけど、それでも可能な限りシチュエーションを工夫しているおかげで引っ張られる。ロケットの下りなんかは外連味に溢れていてインパクト抜群だし、それでいて映画のムードを壊さない程度にはっちゃけていて楽しい。

更に動物捕獲チーム内のドラマがアクションと同じくらい本作の魅力を構築していて、確かな信頼関係やコミカルな掛け合い、恋の行方等を明るく描いているのがやはり魅力的。プロフェッショナル同士のカラッとした関係性は同監督の『リオ・ブラボー』なんかを思い出すし、こういうノリを気取らない空気感で描写しているのがグッと来る。登場人物達のキャラクターの立ち方も相俟って、気が付けば映画そのものにどんどん愛着を感じてしまうから憎めない。
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