平成日本年中行事絵巻。
極平均的日本人を同時代人・同国人が切り取れるのが本当にすごい。
素材がありすぎて、どこをどう切り取れば、普遍になるのか、自分ではとても判断がつかない。
現代日本人が見ても、面白くないだろう。100年後に評価される作品だ。日本を知らない外国人が見ても、違う文明を見ているようで面白いだろう。日本人の愛想笑いの裏には、こんな生活があったのかと。
その証拠に、ジブリの作品で唯一、アメリカの近代美術館に収められている。
サザエさん、ドラえもん、ちびまる子ちゃん、クレヨンしんちゃん、あたしんち、阿部礼司で目の肥えた観客を満足させるには大変だろうが、外国人にとっては、日本人がなにを考えていたのかのヒントになったのではないか?
その中で、差し込まれる芭蕉の句によって、人間の普遍性や日常の悲哀を切り出すことに成功している。
「人生が諦めが肝心です」
「なるようになる」
植木等以来のサラリーマン映画に欠かせないメッセージではなかろうか。
七つの会議のように飄々と組織の中を生きる男にヒロイズムを感じてならない昨今である。