あなぐらむ

むちむちネオン街 私たべごろのあなぐらむのレビュー・感想・評価

4.1
シネロマン池袋さんで鑑賞。

三崎奈美&山口美也子で描くキャバレー哀歌。
日活での本格主演となる三崎奈美ぽん、まだアフレコも硬いが持ち味のふわふわ巨乳と少し足りない感じのキャラが、勝ち気な姐御肌のむちむちぷりん・山口とぴたりと合い、幸薄い女達の吹き溜まりで輝く。

大工原正泰らしい兄義妹の関係から始まり、グランドホテルよろしく脇キャラまで各々の事情が点描されていく。若干ドライな(淡白な)切り取り方な気もするのは尺オーバーだったか。安定の場末女優・橘雪子の件はもう少し見たかった。岡本麗、志麻いづみは友情出演?

三崎奈美の今で言う「天然」ぶりも魅力的で、こんなすぐに騙される様な女のキャラは見なくなった。
一方の山口美也子は、若尾文子的なサバサバ風俗嬢の過去と哀切をきりりと演じ流石の安定感。浪人生にも、お馴染み粟津號にも一時の愛を注いでしまう聖女を体現している。

ガスタンクが見える安い下宿、上野駅の上あたりからの風景、そして最後の最後の場面の思いきったロケが、都会に住む地方者という構図を際立たせ(撮影は森勝)、それでも生きていくのだという「女の一生」を前向きに描いてみせて、良い鑑賞感に仕上がっている。

中川好久初監督にして唯一の作品という事で、はて、と調べ直したら、その後は岡田裕のNCPから奥山和由とのコンビで「いつかギラギラする日」の企画までを担当。原田眞人「ペインテッド・デザート」も企画なので、実は若い頃この人の企画作品を沢山観てきたのだった。
オープニングが乱闘シーンなんで見落としてたけど、助監督は黒沢直輔だった。あのキャバレーのシーンを捌いてたのか。