ていざむらい

マイ・ドッグ・スキップのていざむらいのレビュー・感想・評価

マイ・ドッグ・スキップ(2000年製作の映画)
3.5
犬の感動ものを求めてる人にはちょっと違うかも、となるかもしれない。
ジャックラッセルテリアのスキップは確かに作品のメインとして扱われているが、このスキップが特別な能力を持っているとか、大事件を起こすとかそういうのはない。街の人から愛されているし賢いのは確かだけど、至って普通の犬。この作品の主題は少年ウィリーの成長だから、スキップ以外にも従軍した隣の家の野球選手だったり、厳しい性格のウィリーの父、あとはウィリーに絡む悪ガキ三人衆とか可愛い女の子とか、ウィリーを取り巻く要素が多い。それでも語りがスキップとの出会いから始まり、最後もスキップの死で終わる等、焦点がいつでも彼に置かれているのは、全ての始まりがスキップだから。ウィリー少年自身と彼を取り巻く環境を変えていくのに、大それた事件なんかいらなくて、ただスキップと出会ったことが彼自身を世界へと向き合わせるきっかけになったに過ぎない。けれどそのきっかけがウィリー少年にとっては本当に大切で、不可欠なこと。たった一匹の犬との出会いで全てが良い方向に少しずつ変わり、それによってまた様々なことを学ぶことが出来た。この話は原作者の実際の思い出を基にしているらしいですが、確かにこの絶妙な塩梅が、実にリアルで良いなと思います。
ただ、あくまで犬を中心に話が回ってほしいとか、犬が巻き起こす事件とかを求めてる人には物足りないのかも。私は先に「僕のワンダフルライフ」を見ていたから、そういう路線かと思ったのでちょっと拍子抜けしてしまった。あくまでこの作品は、「犬との出会いがきっかけにした少年の成長」「成長していく日々に犬がいる」のようなコンセプトだと思います。
けど最後は正直泣いてしまいました。犬飼ったことある人ならめちゃくちゃ感情移入出来そうですね。犬がいてくれる毎日に感謝すること請け合いでしょう。