星一

69 sixty nineの星一のレビュー・感想・評価

69 sixty nine(2004年製作の映画)
3.6
時代は1969年、佐世保の高校生、矢崎は当時アメリカで行われていたフェスティバルをやろうと友人のアダモや岩瀬などと一緒に計画する。その最中にバリケード封鎖をしたり、不良高校生に絡まれたり、映画を撮ったり、恋をしたり、1969年の高校生たちが笑って、恋して、ふざけて走りまわる青春コメディ映画。

 この映画は小説家、村上龍の作品「69」を原作に、宮藤官九郎が脚本をした映画。

 小説の方を前に読んだことがあり、村上龍の読んだことのある作品の中でも好きな作品なんですが、この映画はその小説のテンションをしっかりと守りつつ、ポップに疾走感がある映画になっていてすごく好き。

 バリ封のふざけたシーンを挟みつつも、それぞれが同時に作業を進めていくスピード感を楽しませてくれるのが格好いい。

 オープニングからの基地に仲間と一緒に向かうシーンなんかも静画で見ても物凄くオシャレだなと思わせる一瞬だった。

 何よりもこの映画のいいところはこの”青春”だと思う。あの学生時代にしか、味わえなかったくだらないことでも全力で楽しめるパワー。どんなに思想があり、自分でいろいろ学んでいても、目の前の誘惑に負けてしまうような男の単純さ。どんなに素晴らしい映画や音楽を知っていても、それはカッコいいから知ってて深いことなんてよく分からないところ。でも、それが友人の一人が物事を知るいい窓口になったり。どんなにダメダメでも、サイコーになれて、ピースできるところ。

 この映画には、いつの時代にも味わいたい青春のテンション、パワー、空気感、それらがぎっしりと詰まっている。

 お下品で、なんだかんだでエロに目がいってしまうガキンチョたち。しかし、彼らは見ている僕らに”青春”をぶつけてきてくれる。彼らの”青春”を追体験させてくれる。そんな映画だと思います。
 
星一

星一