うえびん

浮き雲のうえびんのレビュー・感想・評価

浮き雲(1996年製作の映画)
3.7
感情の炙り出し

1996年 フィンランド作品

1シーン1シーンの短さ
しっかりめの暗転
いろんなBGM
少ないセリフ
表情に乏しい演技

初めてのアキ・カウリスマキ監督作品

独特な作風は
最初は興味深かったけれど
ストーリーが単調だったせいか
途中からちょっと飽きてしまった

時間の移ろい
不況によるほの暗さ
人間と社会の光と影が感じられる

イロナとラウリ
時代と社会に翻弄される夫婦の物語

棒読みセリフ
言葉数が少なく
微妙に噛み合わない会話

棒立ち演技
少ないゼスチャー
乏しい表情

心情の読み取りにくさゆえに
想像力が強くはたらく

エモーショナルなBGM
消える店のネオンサイン

炙り出し絵のように
浮かび上がる人間の心情

じわじわ湧いてくる余韻は
遠赤外線効果のよう

これが”奇才”と呼ばれる監督の持ち味か
うえびん

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