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浮き雲のtackyのレビュー・感想・評価

浮き雲(1996年製作の映画)
4.5
カウリスマキ監督の敗者三部作の一作目は、一人どころか、夫婦で不幸のオンパレードに見舞われる。

私も経験あるが、突然の閉店や解雇。
その後のハローワークで不親切な職員のもとでの職探し、面接ハラスメント、新職場でのパワハラなど、精神的にとても厳しい時を思い出して、この夫婦に共感した。

肝心なところはあえて映さない。そして「西鶴一代女」にも通ずる、無駄を省いた短いシークエンスの積み重ね。90分でも重厚な人生ドラマを観られた。

ラスト「浮き雲」を夫婦二人で見上げるシーンに、「遠雷」のラストシーンの夫婦二人で遠雷を見上げるシーンが重なり、この夫婦の行く末に幸あれと願うばかりである。

「人生は一度切りだから。」
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