さな

浮き雲のさなのネタバレレビュー・内容・結末

浮き雲(1996年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

アキ・カウリスマキ作品7作品目


アキ・カウリスマキの作品は最近のものが好きっぽい&ポスターからしてもう好き
だったので、観る前からとても期待して楽しみにしてた
最高だった

最初、メロウな歌とピアノに聴き入りながら始まるオープニング
その後、曲が変わり、場面も変わり、厨房でコックが酒を飲んで暴れている
それを止めに行くクローク係、切られる
その後チャレンジする主人公、ビンタ一発
全てが画面の外で起こる出来事で、視聴者の私たちの視線はずっと残ったまま
最高すぎる、、、
もうこのシーンが見れただけで「アキ・カウリスマキが大好き」と言う気持ちで胸がいっぱいになる、心の中で暴れて映画館の床を転がりまくった
一連の流れを見ている人達が、なんのリアクションも無くただ眺めているだけなのも良い
BGMもシュールで良い

その後、その日の運行を終えて車庫へ向かう路面電車
車内は2人きりで、車庫までの道は2人の大切なデート時間なんだな、と思わせるイロナの表情

車庫までの道のりやごみ捨てのついでにわんちゃんと遊ぶシーン、ふいに映る外の風景がすごく綺麗
紅葉の黄色、夕暮れのオレンジ、空気が暖色で幸せの色で満ち満ちている

家の配色も素敵
あんなに青色のダイニングテーブルある?ってくらい青い
壁紙も青い
ソファなどは赤ぽいオレンジぽい色
水色〜青と赤〜オレンジの組み合わせが多いように思った、可愛い
ファッションが相変わらず可愛くてやっぱり色が素敵
赤色のロングコートが目に飛び込んでくる、それに合わせた緑色のマフラーやカラフルなストール
最後の方で、偶然美容院で再開した支配人とメニューを見ているシーン、
支配人の服がオレンジ色、主人公の服の色が青色で、メニューも同じように右と左でオレンジのお酒と青色のお酒に分かれていて、美しすぎてうっとりしてしまった
切り取って部屋に飾りたい

お気に入りのシーンがいくつかある
・掃除しているシーン、掃除機の形が長方形で面白い
・やけに贅沢に尺が使われる演奏シーン
・二度︎バタリと倒れるラウリ、それを見て驚きもしないイロナ
・ロシアに出かけるのを窓越しに見送る、お互い手を振ったりはしないけれど表情で通じ合ってることがわかる
・厨房とフロア、一人二役をこなすイロナ。シーンが切り替わり疲れ果てたイロナ
・新しくお店を立ち上げようと、床に這いつくばりながら計算をするイロナを三角座りで眺めるラウリ。コーヒーまで入れに行ってサポート役に徹するのが良い
・お客さんが来ないかと今か今かと待ち続けるみんな、みんなで真顔でドアの方を向いて突っ立ってるシーンが好きすぎてなんだか涙が出そうになった

本当にとても良かった
使われてる音楽がどれも気分がアガるもの
セリフは少なく、淡々と進んで行くストーリー、でも分かりやすくアキ・カウリスマキ独特の空気感が漂っている、好きだ
あらすじにも少し書いていたけどアキ・カウリスマキ作品の中では明るく、賑やかな幸福度の高いお話だったように思う
7作品観た中で枯れ葉、マッチ工場の少女が好きだったのだけれど、浮き雲もそれに並ぶくらい好き
主人公の2人は夫婦だから、最初から愛があるのが他作品と違うところだと思った
2人いるから悲観的になることがあまりない
本当に良かった、最高だった
繰り返し何度も観たい
さな

さな