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愛と精霊の家のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

愛と精霊の家(1993年製作の映画)
3.3
チリの女性作家イザベル・アジェンデの世界的なベストセラー小説「精霊たちの家」を、ビレ・アウグストの監督・脚本で映画化。
音楽はハンス・ジマー。
南米のある国(チリがモデル)の一家がたどった波乱に満ちた50年を描く。
原題:The House of The Spirits(1993)

1928年、南米のある国。
富農の名家デル・バレ家の長女ローザ(テリー・ポロ)が、政界絡みのトラブルに巻き込まれた父(アーミン・ミューラー=スタール、母役はヴァネッサ・レッドグレイヴ)の身代わりとなって毒殺される。
姉の死を予知した末娘クララ(ジェーン・グレイ)は、"未来を口にすると悪いことが起こる"と考え、以後口を閉ざす。
一方、婚約者ローザを失った貧しい金鉱掘りの青年エステバンは、農場作りに専心。
20年間働きづめで大農場主になり、ある日、小作人の娘の体を奪う。
その後、成長したクララ(メリル・ストリープ)と再会し(これを機にクララは口を開く)結婚。エステバンの姉フェルラ(グレン・クローズ)と3人で屋敷で暮らし始める。
やがてクララは妊娠し、娘ブランカを出産、エステバンは保守党の議員にまでなる。
しかし、階級意識が強く横暴なエステバンは、娘ブランカ(ウィノナ・ライダー)が小作人の息子で幼なじみのペドロ・セグンド(虐げられている小作人たちの抵抗運動を指揮、演アントニオ・バンデラス)と恋仲なのを知ると、ヨーロッパの俗物貴族サティニー伯爵との結婚を強要。姉フェルラも追い出してしまう。
クララは夫と口をきくのを拒否、実家に戻る…。

やがてクララは亡くなり、軍部が政権を掌握。
ブランカの恋人ペドロは人民戦線のリーダーになり、ブランカは軍事政権に逮捕され拷問を受ける。
拷問を指揮するのは、エステバンがかつて娘に手を出した結果産まれたエステバン・ガルシア(ヴィンセント・ギャロ) だった
…。

「ペドロとあなたは同じことをしている。違う階級の女性と寝ているでしょ」

名作「ペレ」「愛の風景」の監督作品、撮影のヨルゲン・ペルソンと美術のアンナ・アスプも同じということで、期待したが、残念ながら全体に散漫。
豪華スターが競演したにもかかわらず(競演させたから?)、俳優の魅力を引き出せなかったのが残念。
メリル・ストリープの予知能力は現実味を感じさせないが、ギリシャ神話に出てくるトロイの王女カッサンドラをイメージさせる。
前半の見せ場は男の体を知らない年増のグレン・クロースがメリル・ストリープに感じる同性愛的感情の描き方。
後半、軍部が政権を握ってからが作品の見どころ。
ウィノナ・ライダーを救うのに、ジェレミー・アイアンズが助けを求めるのが、高級娼婦トランジート(マリア・コンチータ・アロンゾ)というのが面白い。一肌脱ぐかは見てのお楽しみ。
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