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愛と精霊の家のfrancois708のレビュー・感想・評価

愛と精霊の家(1993年製作の映画)
3.0
イサベル・アジェンデの原作があまりにもすばらしすぎるので、映画を作るのは大変だったと思う。持ち味を生かすには5時間以上の尺が必要だったかもしれない。というより、精霊が行き交い、予知能力や千里眼が描かれて、魔術的な想像力の横溢する原作は、そもそも映画の枠に入り切らないのかも。
人物やエピソードを思い切りよく切り捨てて、ブランカを主役に立てて、娘のアルバのエピソードもブランカの方に寄せて、あまりにも端折りすぎてつながりも悪くて、何だか全く別の作品みたい。
ジェレミー・アイアンズとメリル・ストリープの組合せは、『フランス軍中尉の女』で一度見たことがあって、メリルを好きになるきっかけになった映画だった。
この作品でも、さすがに息の合った名演といえるのかもしれないが、ジェレミー扮するエステバン・トルエバは、原作ではもっともっと荒々しくて下品で野性的なイメージで、ここでのジェレミーはいささか上品で二枚目過ぎた感じ。
レトロな街並みや衣裳はなかなかすてきだし、青を基調にしたクラーラの寝室も魅惑的だし、田園風景もよかったのだけれど。
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