えそじま

少年期のえそじまのレビュー・感想・評価

少年期(1951年製作の映画)
3.5
戦時下、都会人の疎開話。
信州諏訪の田舎を舞台にして、軍国主義に染まりつつある少年と反戦的な両親のすれ違いや苦悩を描いた作品。
周囲と家庭の矛盾に揺れ動く少年の心情機微がとても繊細に表現されている。

実際に原作者波多野勤子が息子と交わした四年分の往間記録に基づいているそうだが、「陸軍(1944年)」制作時における木下自身の心情が濃密に投影されているように思う。

家族を守る為に歪な軍国思想に迎合する大人達と、同級生から虐められる愛息子を他所に反戦姿勢を貫く父親。どちらが正しかったのかは分からないが、いずれにせよ戦争が過ちである。
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