「私はヒロシマを見てきた」
「お前はまだヒロシマを知らない」
広島での一夜を共にした後、
別れを告げようとする
フランス人女性に、
「ここに残ってくれ」
とクールにダダをこね続ける
岡田英次。
着かず離れずの、執拗な
ストーキングが絶妙。
普通の男ならハイさよならと
撒かれる所だが、英次には
通用しない。
タクシーに飛び乗って
振り切ったかと思いきや、
目的地に着くと、後続の
タクシーで何喰わぬ顔を見せ
登場する英次。
逃げようが走ろうが、その行く
先々で一息つくと、当然の様に
英次の影が差す。
振り返ると、顔を上げると、
そこには英次が…!☆
建築士と言っていたが、恐らく
それは表の顔に過ぎない。
ていうかこの二人、本当に
生きてる人間なのか?
亡霊か、何かの擬人化じゃ
ないのか?と思えてくる。
決して粘着的なものでは無く、
ある意味ファンタジーといえる
24時間。そして、別れの時は
刻一刻と迫る…。
舞台を広島とした意味を
考えながら観ていくと、
うっすらと見え隠れしている
何かを感じ取る事が出来ます。
一部、『ひろしま』(1953)
からの流用シーンもあります。