BOB

いとこ同志のBOBのレビュー・感想・評価

いとこ同志(1959年製作の映画)
3.8
クロード・シャブロル監督の長編2作目となった青春映画。ヌーベル・バーグの代表作の1つ。

法学士の試験のためパリへ上京した青年が、いとこの住むアパートに寄宿する。ある日、パーティーで出会った女性に恋をする。

「愛してるよ。相手を好きになるとその気持ちが止まらない。」

クロード・シャブロル監督作品、初鑑賞。

田舎出身の素朴で内向的で勤勉なシャルルと、金持ちで傲慢で要領が良く享楽的な生活を送るポールが、同居しながら一人の女性を奪い合う。

対照的な性格のいとこ同士、一人の女性と試験合格を目指すいとこ同志。あまりにも残酷な対比。あまりにも悲劇的な運命。終盤の展開にはぐいぐい引き込まれ、ラストの"Fin"の文字に絶句した。

同年に公開された『大人は判ってくれない』『勝手にしやがれ』と並ぶ、ヌーベル・バーグの代表作の1つ。勉強せずに乱痴気騒ぎばかりしているパワフルで反抗的な若者たち。パリ観光ドライブシーンは、ロケ撮影と洒落た音楽の組み合わせが、とてもヌーベル・バーグっぽい。

ヒトラーが愛好したワグナーの曲を流しながら、暗い部屋で蝋燭を片手に、ドイツ語の詩?を朗読するポール。ナチスのふりをして銃で脅すポールと、本気で怖がる友人。合格祝いには、ヒトラーが心酔した"ワルキューレの騎行"♪。何か政治的な深い意味が込められていそう。

487
BOB

BOB