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オープニング・ナイトの&yのレビュー・感想・評価

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)
5.0
【2014/1/8:オーディトリウム】予告で流れたジーナ・ロランズの言葉「この世に映画があって、本当によかった」。沁みた。こういう作品を観ると、人の内面に深く切り込むことができるのは、やはり人以外の何物でもないのだ、と思う。言い換えれば、フィクションの持つ力、映画そのものの存在意義ってこれでしょ、と。
一人の女優の内面を描く話だから、事件はあるもののそれらはキッカケやシチュエーションに過ぎず、重要ではない。そこで引力となるのはジーナ・ロランズの演技で、それがもう圧倒的。役柄を演じる中でさらに劇中劇をも演じる難しさは、素人ながら想像に難くないが、劇中劇のセリフがマートルに与える影響だとか、本当細部までリアルすぎて演技とは思えない…。
そして劇中劇がもつ二重構造、メタ的な視点が効果的。脚本の崩壊を見るに耐えない脚本家。もともと脚本に納得いってないから喜んで見てる演出家(これはカサヴェテスの映画観の投影かな)。カサヴェテス夫婦の即興バトル。もう現実と映画と劇中劇の境目がわかんないけどなんかすごいもの観てるぞ!からの大団円!!というカサヴェテス的アメリカ映画。
ケチのつけようがない。傑作。
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