みーちゃん

オープニング・ナイトのみーちゃんのレビュー・感想・評価

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)
5.0
Wonderful!
考えて、考えて、考え抜いた結果、彼女が出した答えに、心から納得し腹落ちする。  

でも、ここに至るまでの緊張感やトラブルが半端ないから、もしかして破滅的な結末が待っているのかも…という不安が常に付き纏う。だからこそストレスから解放されるラストが気持ちいい。この結果を導き出してくれた全てのプロセスに、心の底からありがとうと言いたくなる。

そして"彼女"の定義が、劇中劇の主人公ヴァージニアであり、本作の主人公マートルであり、ジーナ本人であるかのような錯覚をもたらすところが唯一無二。カメラワークや構図、モンタージュの技法がもたらす効果を改めて思い知った。

同志的な演出家や共演者たちとの関係性、リスペクトする上の世代であるプロデューサーや脚本家との関係性にも唸らされた。特に人生の大先輩である脚本家サラとの会話は、一言一句が核心を突いており、一見常軌を逸したマートルが、実は誰よりも自分のことや状況を客観視できていると分かる、知性的でクールなシーンの連続だ。

演出家の妻ドロシーへのフォーカスも素敵。彼女は序盤から登場しているにも関わらず、立場としては常に部外者だから気になっていた。でも彼女が観客として、誰よりもまっすぐに「ブラボー!」と叫んだ瞬間、一気にこのドラマの当事者になる。私は、まるで目の前で誰かにパーンと手を叩かれたように、ハッと我に返り、そうだ彼女はずっと伴走していたのだ!と気づかされた。

そこから更にまっすぐに終演後のマートルのもとに駆けつけ、抱擁を交わすショット。ここで映像は止まり、賞賛の会話だけが続く。オープニングナイトは一夜限りの断片にしか過ぎない。新たなステージはこれから始まるのだ。でも何があっても大丈夫。繋がりや広がりと共に、輝きと葛藤に満ちた未来を確信させる、最高にセンスが良いクロージングだった。