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オープニング・ナイトの440のレビュー・感想・評価

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)
4.3
老いる事への恐怖
自分との戦い

俺の大好きな漫画「ガラスの仮面」を観ているような高揚感。
ジーナ・ローランズの迫真の演技に自分も観客になったかのような錯覚を覚えた1本。

人気女優のマートンは上演舞台の終了後に追いかけてきたファンの女の子が車に轢かれる現場を目撃してしまう。
自分のせいではないとは分かっていても動揺と悲しみが拭えない。
ベテランとなり人気にも翳りが。
上演中の舞台も自分が思うような演技が出来ないマートンは次第に心が壊れていく。

劇中劇が繰り広げられる作品は好きなので、全集中で映画の世界に入り込み終始ドキドキハラハラでした。

しかもその劇がマートン自身と重なる設定のため、最近レビューした「ザ・ミソジニー」のように演じているのか本心なのか分からない危うさが気分を盛り上げてくれました。
多分「ザ・ミソジニー」はこの作品を参考にしているのかもな。

マートンが徐々に壊れていく様は観ていて痛々しいがどこかユーモアもあり、鏡や小道具を使った演出や部屋の中のカメラワークが「おっ!」と惹きつける魅力があって初カサヴェテス作品でしたが別作品も俄然観たくなりました。

そしてクライマックス30分で描かれる劇の盛り上がりと製作者への皮肉がめちゃくちゃ効いた結末に大興奮。
絶望的な千鳥足からスイッチの入っていく感じは背筋がゾクゾクしたなぁ。

それにしてもお酒飲み過ぎだし、タバコ吸いすぎw
見応えあって大変面白かったです。
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