異端の作家、深沢七郎の哀愁漂うギターで奏でられる『楢山節』。木下恵介監督が実験的(歌舞伎様式?)な手法で綴った恐怖の姥捨伝説。田中絹代がヨレヨレな姿でおりん婆さんを怪演する。
今村昌平バージョンと比較し、エロ描写が少なくTBSで昔放映されてた『まんが日本昔ばなし』みたいな雰囲気が濃厚である。ちょっと上品過ぎるかな?
たしかに実験的な手法ではあるけれど、それが果たして成功してるかと言えば微妙な所だ。木下恵介だったら『カルメン故郷に帰る』とか『お嬢さん乾杯!』みたいな庶民派コメディの方が好きだったりする。現代のパートに切り替わるオチにはびっくり。
※新潮文庫から発売されている『楢山節考』の単行本に小沢昭一の朗読付きCDが併録されたモノがあるらしく、原作ファンとしては是非ともゲットしたい品である。