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楢山節考のTSのレビュー・感想・評価

楢山節考(1958年製作の映画)
3.5
【高齢になると捨てられる母親】75点
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監督:木下恵介
製作国:日本
ジャンル:ドラマ
収録時間:98分
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全編スタジオで収録された、姥捨伝説を扱った作品。世界から絶賛された作品だそうで、こんな伝説があるのかと思うと少しゾッとしてしまいます。1950年代の作品であるのにカラー映画というのも印象的。最初見たとき、1980年代の方のやつかな?と思ってしまいましたが古い方のものでした。

姥捨伝説って、耳にしたことくらいはありましたがこれを見るまで詳しくは知りませんでした。嘘か真か、70を過ぎた老婆を山に捨てて、口減らしをするということが大昔にあった模様。口減らしとは、いわゆる食べ物を食べる人間を減らすということ。なるほど、高齢の人間は穀潰し以外の何者でもなく、いるだけ無駄だと解釈される時代があったのですか。しかし、それを家族がやってしまうのだから末恐ろしい。今作のおりんは、70を迎えた時に倅の辰平と「楢山まいり」に向かいますが、まいりと言っても親との決別を意味し、なんとも言えない気持ちがこみ上げられます。道中には白骨化した遺体などもあるため、それが自分の親の後々の姿だと思うとゾッとしてしまうでしょう。餓死なのか凍死なのか、結末は神のみぞ知るということでしょう。

掟だから仕方ないとはよく言ったものです。誰がこんな悪しき掟を作ってしまったのだろう。人権も何もない、現代では考えられない掟。いや、しかし現代のどこかでも理解しがたい掟が存在するのでしょう。全編スタジオで撮影しているのも逆に味があり、最後まで音楽が流れるのもまた一つの芸術を嗜んでるかのようでした。
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