佐藤克巳

母を恋はずやの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

母を恋はずや(1934年製作の映画)
4.5
第1巻と第9巻が欠落しているので前後を推測するしかないが、父岩田祐吉に前妻があり長男大日向傳と後妻吉川満子に次男三井秀男の異母兄弟は、事実を知らずに仲の良い学童時代を過ごす。父とのピクニックを楽しみにしていたが、授業中に父訃報の知らせ。父の親友奈良真養の助言で吉川は兄弟の区別無く育てたが、大日向が戸籍謄本から継子である事を知るが奈良に説得され事無きを得た。その奈良も死に、息子達も大学生となり富裕だった家族も没落の一途、小さな一戸建てに引っ越す。ある時母が父の古着を日干ししていた所、大日向が帰って来た。その古着を三井に着せる話を母がすると、大日向は母が自分を特別視していると非難、家を出て女逢初夢子のチャブ屋に居候する。そこで働く母と同年代の掃除婦飯田蝶子に煙草を勧め打ち解け語らうと、おそらく自身が長男としての責任感が芽生え、追い返した母が心配になり家に帰る。その後、更に引っ越しが行われた。小津調が濃厚に現れた小津安二郎監督の秀作。
佐藤克巳

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