YasujiOshiba

007は二度死ぬのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

007は二度死ぬ(1967年製作の映画)
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アマプラ。なぎちゃんと。ぼくはこれをリアルタイムで見ている。母親が大のボンド好きで、なんと小学生のぼくを連れていってくれたのだ。なんせ小学生だからオープニングのシルエットだけでドキドキもの。そのドキドキとシンクロするナンシー・シナトラの歌声。その主題歌と映画のタイトルでもある「You only live twice」は「お前が生きられるのは二度まで(三度目はないぞ)」というスペクターの脅し文句から来るのだが、日本語タイトルの「二度死ぬ」という訳がよい。

「二度だけ生きる」なんて言われると気が抜けちゃう。やはり二度死ぬというインパクトと、ドキドキのエロス、そして宇宙でのハイジャックシーンから、相撲の試合に忍者の訓練シーン、海人さん水着姿のサービスとヘリコプターの空中戦、偽装火山なのに爆発で溶岩を出しちゃう「大迫力!」の合成シーン、今度もボートでしっぽり二人と思うと浮上してきた潜水艦に捕まっちまうというどんでん返しまで、えらい楽しい物語を堪能。

もうひとつドキドキしたのは浜美枝のルックス。たぶん小学生のぼくは、彼女の姿を美女のアーキタイプとしてインプリントされたのだ。もちろん、この映画には女性は一歩下がって奉仕すべしという、その後の55年のあいだにゆっくりと超克されていった女性観が蔓延っている。でもそれはそれ。当時のドキドキは、ぼくにとって、どこまでも個人的なお宝であり続けるのでありました。

それにしても若林映子の印象がないなと思ったら、彼女が登場するシーンでぼくの脳裏にインプリントされたのはトヨタ2000GTのスラリとしたフォルムだったんだよな。あれは本当にいかしてた。それからもう一台は、劇中で東京の街中を走っていたスバル360。「あ、てんとう虫」だと思わず叫びそうになっちゃったわ。ルパンの500よりも、ぼくらにとってしっくりくるのはスバル360。ぼくは何かの用事があって、学校の先生に乗せてもらったことがあるんだけど、その小さなボディに乗り込んで、ガタガタと車体を揺らしながら走り出した時のことはよく覚えている。

いやほんと、いろいろな意味で海馬の奥底の記憶まで刺激してくれそうな、そんな映画だったのです、はい。
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