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レイダース/失われたアーク《聖櫃》のTnTのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

 自分は、ミーハー父の映画王道英才教育を幼少期に受け、アート系が好きと言いつつも未だスピルバーグには抗えない。久方ぶりに見てちょっとした幻滅もあったりする。というか、殆ど子供向けだったんだなぁと。そこに強烈にグロいのを挟むからヤバイ。正直ラストとか相当トラウマでしたが、結局その衝撃が忘れられないでこうしてまた再見してるわけで、これはもうスピルバーグの策略通りだなぁ。

 以前読んだ「スピルバーグ論」でも、彼の映画の中にはよく何かを教えるシーンがあると書いてあったが、そういえば教授だもんね、ジョーンズ。途中でアメリカ陸軍情報部が来て、懇切丁寧にインディはアークについて説明するところなんてまさに。ついでに観客にもアークについて説明している、違和感なく。この教育ってメタレベルで起きてて、私の父はおそらく20代前後で今作を見ていて、それを子にも継いだわけで、半端に子供向けなだけあって連綿と後世に託されるんだなぁと。

 しかし、モーゼの十戒の石版が入ってるのがアークなの知らなかった(子供の頃はそんなのどうでもいいので笑)。「未知との遭遇」でもテレビで映画「十戒」が流れていたり、あの映画のスペクタクルに若干スピルバーグ自身憧れているのだろう。そして、そのスペクタクルを”見たい”というのが今作のテーマなのだ。

 博物館に寄贈するとかそんなことはおいといて、とにかく見たいという欲求に駆り立てられる冒険だった。かなり場当たり的で、「追えばなんとかなるだろう」とか言っちゃうし、とりあえずロケットランチャー向けるけど説得にあっさり屈したりする。「次どうなるの?」と期待させるんだけどそもそも「なぜ今こうなってるの?」という疑問がついついアクションによってかき消される。しかもかなり何度も警告を受けるのに聞く耳なし。そんなラストは全て破壊しつくす凄惨な死のスペクタクルが待っていた!もうこれでチャラだ、これが見たかったんだよ(頭の中のスピ「これが見たかったんでしょ?」)!しかもインディたちは目をつぶっているのに、観客であるこちらはそれを目撃できるという特権を獲得してさえいる(これは「クリスタルスカル」のラストでも再見できる。

 思えばナチをブチ殺したかっただけな気もするんだよね笑。ほんと死に方百選すぎる多彩さよ。あとはやっぱヘリのプロペラが…。やべぇ死に方と、本当に死スレスレみたいなスタントもあって、これはCGが敵わない唯一だと思う。そういう”ショック”を見たいというのが、人間の性(さが)であり、それを体現したのがインディであるのだ。あの冒頭のデカイ球体は、そういう死を求める目ん玉そのものだったんじゃないか。

 マリオンの強キャラ感と「インディー!」と呼ぶ声好き。「フェイブルマンズ」観たあとだと、マリオンと猿というペアや、マリオンが青い月夜に白いドレス着るみたいなのが全部スピルバーグの母親とダブるけど笑。
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