ゆきゆき

赤い影のゆきゆきのレビュー・感想・評価

赤い影(1973年製作の映画)
3.8
ヒッチコックの『鳥』や『レベッカ』の原作で知られる、ダフネ・デュ・モーリアの『いま見てはいけない』の映画化。原作小説は昔読んだことがあったけど、幻想的かつ恐ろしい結末の話だった。今作では小説の流れにはほぼ忠実でありながら、映像表現を最大限に活用した画作りが印象に残る。

舞台となる冬のヴェネツィアは観光客も殆どなく、見るからに寒々しい。終始画面からは鮮やかな色彩が意図的に排されるが、主人公の前に現れる赤いレインコートの少女だけが鮮明に映る。しかしそこで主人公に襲いかかる末路は、余りにも悍ましく凄惨。このラストを含めて実に見事な映画であった。
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