ずっと観たかったけれど、なかなかご縁がなかったルイス・ブニュエル監督作。
たまたま自粛期間にBOOK OFFで見つけて、迷った末に購入。。
どんな世界を見せてくれるのか、ワクワクしながら鑑賞した ♪
これはまた、新しい映画の扉を開けてくれたなぁ!!
多幸感溢れる作品を見がちで、リアルなものは少々苦手なのだが、こちらは面白かった!
ヘンテコだけど一線を超えないギリギリのところで品を保っていて、私としてはアリだな ♪と思わされた。
やっぱり漂う唯一無二感。。
誰にも似てないって、凄い個性だと思う。数々の監督に影響を与えた、というのも頷ける。
噂通りストーリーはあるようでなく、、ひたすらブルジョワジーの6人の登場人物達が、閉ざされた世界の中でグルグルと堂々巡りをしている物語。
会食、夢オチ、幽霊との会話、もう少しで…というタイミングで邪魔が入る、だだっ広い道を横一列で歩く、等 永遠に繰り返しを続けるのが、何だかよくわからないけど楽しい。ある意味、コントみたい⁈
ブルジョワ階級なんて自分には縁がない?から理解できないかと思いきや、こういうことって誰にでもあるよね!な感じが親しみを呼ぶ。
失礼なことを平気で言う輩に2、3発ぶっ放したくなるのは、私も同じだ!!笑
ブルジョワジーも気が休まる時がなく、日々何かと大変なのである。風刺というより、憐れみ、おかしみ?なのかな。
全編フランス語なのだが、監督はスペイン生まれで後にメキシコに帰化しているらしい。
どういうお方?と調べると、スペインの画家 サルバドール・ダリとほぼ同時代を生きた人。
ダリと共同で、かの有名な"アンダルシアの犬"を撮った監督である。
あーなるほど、シュルレアリスムなのか。。
エロ、グロ、リアル描写がキツ過ぎるのは苦手だけど、シュールな方向に行くのは嫌いじゃない。
今作みたいなのは、むしろ好き 。
観てすぐは、ちょっとポカーンな感じもありつつ、特典映像のドキュメンタリー映画という解説を観ると、よくわからなかった所がスーッと入って来た。
コメディのようでもあり、独特のタッチがクセになりそうだな。。
"現状に満足してはいけない
今の人生が、ずっと続くと思ってはいけない"
というメッセージが、このコロナ禍のご時世や今の私にはドンピシャであり、喝を入れられた、というか、ハッとさせられた気がする。
キテレツな作品もありそうだけれど(あまりにも変態はちょっと…💦)、もう少しこの監督の世界を覗いてみたい、、と思った。
ロシュフォールで好きになったミシェル・ピコリが、ちょこっと出ていたのが嬉しい。。
以下、ネタバレあり。
個人的MEMO
忘れられた人々
エル
アルチバルド・デラクルスの犯罪的人生
皆殺しの天使
ビリディアナ(パルムドール)
↑作品が国籍剥奪
問わず語り
繰り返しは記憶を失くした母の影響?
裁判官(キーパーソン)
ファンタジーでもなく、超自然現象でもない
突然の珍客
レストランの店主の話は実話
タイトルによって印象が変わる(c.f.半径5メートルの椅子)
見えない束縛
脱線・分岐・逆戻り・遠回り
小間使い、司教、庭師、テロリスト、駐屯隊、麻薬密売人、警察署長
現実も夢の続き
→連鎖しつつも終結しない、矛盾した夢世界
体系化され型にはまった階級に、無秩序と狂気を注ぎ込み楽しんでいる
逃避ではなく生きるための夢
フリッツ・ラング
死滅の谷