しの田

ブルジョワジーの秘かな愉しみのしの田のレビュー・感想・評価

3.0
 皮肉たっぷりでテンポ良くて楽しい。会食に対して不安や不満を持ちながらも、上流階級の作法としての食事に誘わずにはいられない。コミュニケーション不全を中断される食事で表している? お上品な会話を続けるためには、挨拶は欠かせないしむかついても喧嘩はできないし共有された価値観から外れた話題はできなくて、何か一つでも歯車が狂うと、途端に交流が不可能になる。もしくは、彼らの交流の場はある晩餐会から別の晩餐会へと渡り歩くだけで、その途中は田舎の道のように何も無い。
 とか、いちいちもてなしにケチをつけたり庶民や外国を馬鹿にした言動があってニヤけてくる。途中でもはや夢と現実がよくわからなくなってくるところで、「さあどうなるでしょう?」と終わる。楽しい。
 神父さんが庭師になるところがよく分からない。服装で人を判断してしまうことを描写しているとは思うが、使用人になること自体はあるのかな
しの田

しの田