Kei

ブルジョワジーの秘かな愉しみのKeiのレビュー・感想・評価

4.0
ルイス・ブニュエル監督作品を初鑑賞。
テーマは、欲望が実現されない現実、退屈な日常の反復、ブルジョワジー批判などだった。
本作品では最初から最後に渡って、常に食事をしっかりと取ることが出来ないブルジョワジーが描かれる。
食事をしようとするといつも何かしらの邪魔が入るのだ。
また、食欲だけではなく性欲も満たされない様子が描かれている。
人間は欲望を満たそうとするが、それは簡単に出来るものではないことを描いているのだと思う。
こうした現実では満たされない欲望は、夢の中でのみ満たされていく。
映画の中では幾度か、主要な登場人物が田舎道をただ目的もなく歩いているシーンが挿入される。
これは人生にはゴールなどなく退屈な日常が反復するだけだと言われているようだった。
現に作中では、面白くない他人の話を興味がないのにも関わらず聞いてあげるという退屈な日常が繰り返し描かれていた。
また、登場人物が突如として舞台装置上に登場にしたシーンがあったが、これはブルジョワジーが普段「演技」をしているということと、それに対する批判を表しているのだと思う。
ブルジョワジーは、一般に人々のイメージの中でブルジョワジーという階層と結びついている「ブルジョワジーらしさ」を「演じる」ことで自らがブルジョワジーであるという実感を得ており、その実感がもたらす快楽に浸っているのだ。
実際に作中では、お酒の"正しい"飲み方にこだわる「ブルジョワジーらしい」姿が描かれていた。
上記したように本作品からは様々なテーマが読み取れたものの、どのような意味があったのか(もしくは意味がないのか)不明瞭なシーンも多々あるので、もう一度見返してみようと思う。
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