Pinch

ブルジョワジーの秘かな愉しみのPinchのレビュー・感想・評価

3.8
『自由の幻想』は馬鹿馬鹿しい作品と思ったが、こちらはどちらかと言えば好み。ブルジョワジーはそれなりの特権に恵まれてはいるが大した愉しみもなく、結局は彼らの人生という退屈で厳しい一本道を歩いていくしかない。当時は世間の騒音で決して知られることのなかった機密事項も、今は隠し通すことが難しくなった。まるで今の我が国の現状を見せられているようだ。

皆さん、ブルジョワジーになりたいんでしょう? 密かな愉しみが欲しいんでしょう? 野放図に脈絡なく楽しく生きる自由など幻想です。現実を受け入れて頑張れば、逆らい難い快楽を手に入れることができるかもしれません。昔と違って分け前のパイが僅かなので楽ではく、運が悪ければ即座に粛正されるし、この生き方に正しさとか意義とかがあるのかどうかも極めて疑わしいわけですけれども。そのように言われているかのような映画。
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