映画漬廃人伊波興一

偽りの花園の映画漬廃人伊波興一のレビュー・感想・評価

偽りの花園(1941年製作の映画)
3.6
これから産声を上げる未来のシネフィルたちへ。
『ローマの休日』も『ベン・ハー』もウィリアム・ワイラーの些細な一部にすぎません

ウィリアム・ワイラー
『偽りの花園』

生活すること、家庭をもつこと、子供を育てること即ち生きることそのものにおける当たり前の苦闘と、その苦闘がもたらす当たり前の屈折、しかも渦中の当人にとっては解決には程遠い。
そんな点にワイラーの魅力を見出し難くなっているのは明らかに時代の科(とが)というべきもので、私たちにとっていかにも不幸な話ですが、そんな厄災もまた他ならぬワイラーの映画によって救われていくのです。

まだ見ぬ未来のシネフィルよ、ワイラーの名を『ローマの休日』と『ベン・ハー』という(名作)だけに埋没させるなかれ。