イッテルビウム中田

ヘラクレスのイッテルビウム中田のレビュー・感想・評価

ヘラクレス(1997年製作の映画)
5.0
半神半人のヘラクレスはいわゆる脳筋で常人離れしたパワーを持っている。これだけでも世間は英雄として讃えるだろう。否、彼が目指すものは〝真の英雄〟なのである。

「有名になったから真の英雄とは限らない」名を上げた息子ヘラクレスへ向けた父ゼウスの言葉だ。腕っぷしではなく中身を磨けということだ。

ヘラクレスが直情的な反面、複雑な感情や心理描写が印象的なのがヒロインのメグ(メガラ)だ。幾つかディズニー作品を観たが最も色気のあるヒロインと言っても過言ではないだろう。
過去に男性に騙された過去を持つメグ。彼女の葛藤を表現した〝恋してるなんて言えない〟は必見である。

語り部としてミューズの5人がゴスペルを唱う。アニメーションの美しさも相まっていつまでも耳に残る最高の聴き心地だった。

「人間ってバカなことをする 恋をするとね」
「永遠の命があっても メグなしでは虚しいだけだ」
物語の開始時には〝ただの良いやつ〟だったヘラクレス。愛する女性と試練を乗り越えてロマンチストな〝真の英雄〟になる過程が実に美しかった。