ぽち

座頭市血笑旅のぽちのレビュー・感想・評価

座頭市血笑旅(1964年製作の映画)
3.6
前作でコメディに舵を切り過ぎたシリーズが、今作でまたエンタメとして好ましい路線に戻ってきた感じの作品。

それに、今作でのギャグセンスはかなり高く、なおかつブラックな所もあり、さすが一作目を監督した三隅監督と感心してしまった。

赤子が起きないように、敵を切るシーンなど、よく考えるとかなりブラックなのだが、笑える。
市が乳を与えるシーンも勝の演技もあってこれも笑えるシーン。

ストーリーがしっかりしているのが素晴らしい。
赤子と離れがたくなっていく過程も丁寧に描かれていて、ラストは泣ける。

エンディングまでのシークエンスが少しテンポが悪いかな、と思ったが、父親を切ってしまう市の心情まで描けていて、これはアリのオチ。

そして監督のセンスの良さが如実に表れたラストシーン。
あんまの一団とすれ違うシークエンスは見事だろう。

強い者が弱い者を守る系の元祖と言える作品ではないだろうか。設定が良いのだが、原題では使い古された感があり、新鮮味がないのは残念だが、それは元ネタの宿命だろう。

シリーズの中でも上位に来る良作。



余談。
「血笑」
お恥ずかしい話だが、意味が分からなかった、というか、読み方さえ分からなかったので、ちょっと調べてみた。

「けっしょう」と読むそうで、意味は
「大きな犠牲を払って得た教訓」
だそうです。

う~ん。納得!これは理解できるとよい題名だなぁ。
ぽち

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