このレビューはネタバレを含みます
チャウチェスク政権下は確か、産めよ増やせよ、でそれが富国につながるとして中絶を禁止したんだっけ。結果ストリートチルドレンが増えて国は失業率が上がったり犯罪率が上がったり散々だったと記憶している。
それがこんな事態になるのはわかるけれど、なんだろうねこの自然の厳しさを見せつけられている様な、大きなシステムの中ではどう抗いようもない悲劇。
わたしがルーマニアに行った時も駅に着いた瞬間からどことなくこの国の陰のようなものを感じていて、治安が悪くはないようだが、街全体が犯罪者のもつ、後ろ暗さのようなものを持っていた。
この映画も同じく、どこか陰のある、なにか噛み合っていない、なぜかうまくいかない、とても荒っぽいやり方でしか解決できない、そんな雰囲気が充分に伝わってきた。
登場人物も、決して荒っぽいことをやっている人はいないけれど、なにか人間の重要なものが欠けている。慎重さだったり、礼節だったり、真面目さがない。昔で言うところの、はすっぱ。
レイプされても深刻なトラウマとならないのがいい例で、そうするしかないからそうする、そこに倫理観や道徳などは介在しない、まったくもって自然の厳しさを描いている様な映画だった。