ピオ

4ヶ月、3週と2日のピオのネタバレレビュー・内容・結末

4ヶ月、3週と2日(2007年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

妊娠した方の子は発達障害か境界知能っぽさを感じた。もしそういう設定があっての描写だとすれば、どこか他人事のような言動にも納得がいく。

チャウシェスクのバカみたいな産めよ増やせよ中絶すんなでも避妊もするなの時代に発達障害/境界知能として生まれて、物事を深く考えたり先のことを考えずに行動してしまったら、そりゃあこうなってしまうよなあと思う。

実際、現代の日本ですら、そういう女性は男性につけいられやすかったり、人生ずっとミス続きで自己肯定感が低いため求められたらNOと言えなかったりして、何度も妊娠して中絶を繰り返すような人も少なくない。

なので、この女バカすぎる!と一言で済ませることでもない気がしてしまった。

寮中から借金して金集めさせる、闇医者に必ず本人が来いと言われてたのに代わりに行かせる、金足りなくて怒らせて不足分セックスさせる、つく必要のない無駄な嘘をつく、電話しても出ない、胎児は埋めるなと言われてたのに埋めてねと何度も言う。
そういった大変な部分は全て主人公にやらせて本人は呑気に飯食ってる。

ただ、そういう子と対比されてるから主人公がマシに見えるだけで、主人公だってこのことがあるまでは深く考えずに危険日でも彼氏を受け入れていたわけだし、しっかりした賢い子というわけでもなく、だからこそ「明日は我が身」なんだろうと思う。
死刑の可能性だってあるわけだしね。

そして家族ディナーのシーンであったように男尊女卑含め古い思想の大人が多い時代なら、妊娠した原因の男に頼る(というか共犯になることを頼めるくらい信用する)ことが難しかったのだろうと思う。

主人公の彼氏もなんか言ってたけど結局逃げる気がする。将来有望みたいだし、愛してるとか言ってるけどどうせいざその状況になって中絶手伝ってって言われたら全力で逃げるでしょ。まあそれは今も変わらない気がするけど。

コンドームやピルが合法の国でも未だに中絶はあるし、必要な人生の人もいるだろうけど、とにかくアフターピルが気軽に手に入れば生まれない悲劇が沢山あると改めて感じた映画だった。
ピオ

ピオ