竜平

50歳の恋愛白書の竜平のレビュー・感想・評価

50歳の恋愛白書(2009年製作の映画)
3.7
30歳年上のベストセラー作家の夫を持つ50歳女性。「理想の妻」として過ごしている彼女がその人生にふと悩みや疑問を持ち始める、というところから始まる話。大人の女性の「人生」に関するヒューマンドラマ。

とりあえず邦題にあるような「青春」っぽい内容ではないからそこだけ騙されないように。主人公ピッパを演じるのが『フォレスト・ガンプ』などのロビン・ライト・ペン(この頃はまだショーン・ペンの奥さんだったからペンが付いてる)。彼女ってちょい闇を抱えるような役がめちゃ似合う。共演にはアラン・アーキンやキアヌ・リーヴスやウィノナ・ライダーなどなど。主人公の幼い頃や若かりし頃の回想を挟みつつ、現在の悩める姿と同時進行で展開していく。回想のほうではブレイク・ライヴリーやジュリアン・ムーアなども出演。いやはや、出番ほんの少し、とかも含めてキャストが何気に豪華。理想的のようだけども人付き合いやら家族の問題やらがじつはあって、見るからにストレスやら精神面へのダメージやらも溜まっている主人公。いや、劇中では周りから穏やかなふうに見られてるんだけども。奔放に生きていたという昔と、夫との倦怠期や友人の浮気心や娘の反抗など未だにドロドロとしたものが見える現在。こーゆーのを見てると、大人になっても年老いても何かと悩みは尽きないんだろうし、ふとしたところに問題は出てくるんだろうし、なんか本当に人生って大変だよなって思う。限界を迎えていろいろにっちもさっちもいかなくなっていく主人公の姿が印象的、ロビン・ライトがバッチリ好演してたり。

自分の過去の出来事、母親との思い出、そのトラウマみたいなものが現在の自分の姿とリンクしていく、というか、図らずも親と同じような道を辿ってしまう様はなんとも切ない。ただ50歳からまた始まる人生もきっとある。だからといってそれまでが無駄だったとも思わないし、きっとそんなことない。恋や運や、困難や成長と連動して進んでいく人生の物語、良き。で最後にはなんだか元気を貰える、そんな一本。
竜平

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