すずす

都会の牙のすずすのネタバレレビュー・内容・結末

都会の牙(1949年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

知らぬ間に事件に巻き込まれた公証人が、旅先で一日か二日ほどしか生きられないと知り、必死に犯人を追う傑作サスペンス。

このスリラーの画期的な点は二点。
①は終幕後にクレジットで実在であるかのように語られる「数日で死に至るイリジウムという毒素」。主人公が冒頭から既に死人(同然)という意外性。
②次に、矢継ぎ早に場面展開していくスピード感。50年代の常識よりは明らかに素早く、複雑で頭をフル回転させないと付いていけない。
敢えて三点目を挙げるなら、閉幕でのタイトルの使い方。

公証人ビグローが警察署、殺人課に入っていく。「昨日、殺人事件があって、俺が殺された!」と語る。
ロスで小さな公証役場を経営しているビグローは働き盛りで、結婚をせがむ恋人がいる。しかし、週末、恋人を置き去りに、一人サンフランシスコに遊びに行く。恋人から電話で、ユージーン・フィリップスが至急連絡を欲しがっていたと告げられる。
シスコのホテルはコンベンションで盛り上がり、恋人から電話で向かいの部屋の呑み会に誘われ、綺麗な女性につられて、盃を重ね、バーを渡り歩くうち、何者かに酒をすり替えられるが気づかずに飲んでしまう。
翌朝、気分が悪く医者に行くと、イリジウムという毒を飲まされていて、一日二日で絶命すると云われる。その場を抜け出し、ユージーン・フィリップスの輸入商会に行くと、彼は自殺していた。
ビグローは、フィリップス商会とレイノルズと云う男のレアメタル・イリジウムの商取引明細の公証書類を作成していた。そして、レイノルズの販売物が盗品だったらしく。犯人はレイノルズの周辺にいそうな気配だ。
中東系のギャング団が彼を殺そうと狙ってくるが、その裏に、フィリップスの妻と不倫関係にある社員がいた――――

B級映画だけに、屋外場面では通行人が怪訝な顔も映っているが、わずか85分に濃厚なミステリーを詰め込んだ映画。
頭をフル回転させて、一回で見通してみてください。
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