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桑港(サンフランシスコ)の一人旅のレビュー・感想・評価

桑港(サンフランシスコ)(1936年製作の映画)
5.0
W・S・ヴァン・ダイク監督作。

第9回アカデミー賞で作品賞にノミネートされたドラマ映画の名篇で、名優クラーク・ゲイブル&ジャネット・マクドナルドが不器用に惹かれ合う男女を演じます。

本作は、1906年4月18日早朝に発生し約3千人の死者を出したサンフランシスコ地震を物語に絡めて描く人間ドラマです。牧師の娘で歌の才能がある美しいヒロイン:メアリーを巡って、ナイトクラブを経営する粗野な性格の主人公ブラッキーとライバルクラブの経営者である上流階級の男バーリーが敵対関係を深めていく様子とヒロインの愛の争奪のゆくえを映していきながら、上映開始90分後に訪れる未曾有の大地震による惨状と再起のクライマックスへと雪崩れ込んでいきます。

お話の主軸は二人の男と歌手の女が織りなす男女の三角関係メロドラマですが、最大の見せ場は大掛かりなセット撮影&SFXを駆使した圧倒的スケールによる大地震描写にあります。現在の映画ではCG処理が当たり前ですが、CGが無かった1930年代制作の本作では、総てのシーンを本物の家屋とセット&ミニチュアを組んで撮影を行う必要がありました。大地震発生により激しく横揺れし倒壊する家屋、火災&地割れの発生、瓦礫の下敷きになり絶命する人々…と未曾有の大地震による一連の惨状が圧巻のスペクタクル映像で再現されていますし、瓦礫の山と化したサンフランシスコ市街と復興後の現在(1936年)の高層ビル群をオーバーラップさせた時空跳躍のラストショットに現代アメリカの不屈の魂が象徴されています。
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