ジャンキーの意見

桑港(サンフランシスコ)のジャンキーの意見のレビュー・感想・評価

桑港(サンフランシスコ)(1936年製作の映画)
4.4
たとえばある物語が人の死のような悲劇によって転換点を作り、収束を迎えることはよくあるが、こんなふうにいきなり大地震のようなカタストロフィが到来してしまうと、もはや物語そのものの構造自体が揺さぶられる。それで話をまとめることはできなくもないのだが、しかしやはりそれまでのラブロマンスの全てがある意味どうでもよくなり、謎に崇高さを帯びるしかなくなる、カタルシスではなくショック体験としての異常な映画。もちろんひとつの街の興隆と破壊と復興のドラマとしても受容可能ではあるけど、とにかく放心してしまったというのが正直なところ。311の後にクライストの「チリの地震」を読んだ時と似たような体験。