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喜劇 女は度胸のすずすのネタバレレビュー・内容・結末

喜劇 女は度胸(1969年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

後年の森崎東監督の作風とは異なり、王道の松竹喜劇ではあるが、抜群の脚本で、最高級の笑いが弾ける完成度の高い名作コメディ。

生真面目な弟(河原崎建三)が恋をした相手は工場の女工(倍賞美津子)。週末デートに行く二人、弟は彼女の誕生日にゲーテの詩集を贈る。しかし、その詩集を、訳アリの工場の同僚(沖山秀子)が勝手に持ち出し、それが不埒な兄貴(渥美清)の手に渡ってしまう。兄が弟に馴染みの商売女に貰ったと云ったから、さぁ大変!弟は恋人が実は娼婦と勘違い。恋のから騒ぎが始まる。
心配した父親(花沢徳衛)が仲裁にでる。訳アリで体を売っていた工場の同僚と話すが、逆に色香に惑わされ、益々こんがらがる男女関係。
遂に、五人がドヤ街で、鉢合わせになるクライマックスは爆笑必至。
そして、そんな頼りない男と女を、まとめあげる母(清川虹子)の度胸たっぷりの存在感は圧巻だ!

毎度おなじみの与太者を演じる渥美清の喜劇役者としての存在感は圧倒的で、毒舌も冴えわたる「おまえらも考えろよ!おまえたちにだって、頭がついてるだろうに」。そして、渥美と相愛となる沖山秀子のアバズレ振りも流石。しかし、それにも増して、脚本家として数々の松竹作品にかかわっていた森崎のドラマトゥルギーが冴えわたっている。

脚本家として、演出家としても高い才能を見せ続けた森崎東監督のデビュー作で、より脚本を重視したスタイルの初期・森崎監督の作風を堪能できる傑作だ。
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