イチロヲ

喜劇 女は度胸のイチロヲのレビュー・感想・評価

喜劇 女は度胸(1969年製作の映画)
3.5
工場で肉体労働に従事している青年が、女性心理のえげつなさを目の当たりにしてしまう。男女の性差をテーマにしながら、人間讃歌を歌っている、ヒューマン・コメディ。

各登場人物が、色恋を介して接点ができていることに気づかないままで、物語が進行していくスタイル。騙し騙されの男女関係によって生じる「勘違いの連鎖」をコメディ要素に落とし込んでいる。

興味深いのは、両親との同居生活に反発心を覚える若者心理が、普遍的に描かれている点。恋路という外界への脱出法を見いだしたはずが、女性の打算的な思考能力によって、さらなる足枷をはめられてしまうところが面白い。

べらんめえ調の喜劇に古臭さを禁じ得ないが、「若年層の独り立ちについて」または「心の通じあった男女交際について」を真摯に捉えているため、普遍性を楽しむことができる。倍賞美津子が語る「(大事なのは)体の純血よりも、心の純血だもんね」が真理。
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